闇バイトという言葉に違和感です。
出会い系をマッチングアプリ、愛人をパパ活、ねずみ講をネットワークビジネスと言い換えて、言葉の印象を和らげています。昨今の悪しき風潮です。
バイトは「気軽に、暇なときに」というライトな感じを受けますからね。ただの犯罪行為をバイトと表現して、罪のハードルを下げる。
闇バイト自体がもはやパワーワードになり、市民権を獲得した今となっては難しいですが、TVやメディアで注意喚起をし続けること以外に解決策がないかも。
闇バイトは境界知能や精神障害者が引っかかる?
他にも、違和感を覚えることがあって、闇バイトには「境界知能の人が引っかかるんだ」という説が氾濫していることです。
他にも精神障害、発達障害の方が騙されて闇バイトに手を染めるんだという説もSNSでよく見かけます。
上記で紹介したポストはまだ境界知能、精神障害の方の気持ちに寄り添ってくれたもので、優しい方ですね。ですが、大半はネガティブなコメ、投稿が目立ちます。
「境界知能だから判断能力がない」「まともに働けないで金に困っているし、まともな仕事もできないから闇バイトに応募する」
闇バイトの特徴を列挙し、注意喚起するのはいいですが、果たして見分けがつくかなと疑問です。
大手の求人サイトで求人があり、応募すると、面接場所も普通のオフィスビル。持参物は、写真付きの履歴書と筆記用具。数日後に採用連絡があった。
職場の初日にいくと、大量の携帯電話があり、マニュアルにしたがって電話をする。そこで「かけこ」の仕事だと分かる。すぐ退職して事なきを得ましたぁ、という実体験も聞く。
また高額報酬で業務委託の営業の仕事に応募させ、「〇〇さんは稼げませんね。ちょっと別の仕事もしてみませんか?こっちのほうが〇〇さんに向いているかも」と闇バイト(本命)に加担させる。
こういう手口もある。こんなのは誰でも引っかかるんじゃないですかね?
闇バイトになぜ引っかかる?
警察庁では、少年たちが闇バイトに引っかかるパターンを紹介しています。最も多くみられる基本的なパターンは以下の通りです。
少年たちの場合は、友人、先輩からの誘いで断り切れずに、というケースも多いと記載があります。このケースでは「闇バイトに引っかかる」のではなく、「犯罪行為と知りつつも断り切れなかった」というケース。
この場合は、引っかかったわけではないでしょう。昔から普通にみられた不良少年の犯罪に至る過程です。
出会い系アプリでも、昔はよくありました。男性は有料なので、女性のメッセージが何回か続くだけでうれしい。そして、頃合いを見計らって別のサイトに誘導する。そこでがっぽりお金を取られる。
でも、今時こんなのに引っかかるような男はいません笑。ならば、次はどうするか。実際に女性と会ってデート。そこで、「女性の方から2軒目に誘う」。その店はぼったくりバーだった。高いデート代になったもんです。
本来であれば、女性の方が初対面の男性にお店を紹介し、連れて行くなんてことがあるわけがない。でも、恋愛初心者の男性なのでしょうか。断れずについていく。お酒も飲んでいて、判断が鈍っているかも。
私を含めた、おっさん連中や世論はすぐに「さいきんの若者は頭が弱いんだ」という主張に飛びつくんですが、実際はこういう人間関係を利用したケースもみられる。
「家でもできる簡単な副業です!」「郵便ポストさえあれば誰でも出来ます!」という文言があれば、違法だというわけでもないんですよ。
商品の海外輸出で、商品管理、商品発送などを外注している個人事業主の方もいます。就労継続支援A型事業所でさえ、そういう仕事を受け付けている。
知的障害だから、精神障害だから、だから、だから、引っかかるんだというのは暴論です。
闇バイト(犯罪行為)なのか、普通の仕事なのか、判別できないケースが多い。
闇バイトはなぜ増えた?
闇バイトが増えている理由の一つは、クラウドワークスなどネット上で仕事を受注し、完了するという仕事形態が一般的になったからでしょう。クラウドソーシングの普及ですね。
銀行口座、証券口座開設なども今ではオンライン。その際に、免許証や顔写真を撮影し、ネットで送信することで登録完了するシステムが普及した。
ですから、免許証とか、個人情報をネットで送信することに違和感を感じなくなってきている。
この点は判断能力が鈍くなったというよりも、仕事のやり方が多様化したことが原因だと思います。
また、匿名で多数の人間に募集をかけるシステム(SNS、求人アプリ)が普及したことで、犯罪の分業化が一層進んだことも理由の一つです。
昔、金田一少年の事件簿でチャットで知り合った人間たちが、ひとつひとつでは犯罪とはならない行動を積み重ねた結果、一人の人間を殺してしまうという話がありました。
犯罪行為が小分けにされることで、犯罪へ加担している意識が薄くなる。
匿名で集まった人間たちはお互いに信頼感もなく、どんな人間かも分からない。一緒に飲みに行ったこともない。
だから止めることもできない。この辺で止めておこうかと言う線引きができない。犯罪がやりやすくなった。闇バイトの一番厄介なところです。
会社で不正行為があったとしますよね?あなたは内部告発できますか?そんな勇気のある方は一部ではないでしょうか。
実行犯がお互いに面識がない。このような犯罪を「トクリュウ(匿名・流動型)」と呼ぶそうですが、トクリュウではもっと勇気が必要でしょう。犯罪現場にポンと放り出され、そこで冷静な判断が下せるのか。
「ここまでやってしまったらアカン。もうここで終いや」と切り出せる胆力がある人がいるとは思えませんね。カルト宗教と似ています。もう入った時点で終わり。抜け出せない。止められない。
TVやメディアの専門家の識見を聞いていても、どうもピンと来ません。実効的な対策などないんでしょう。大手求人サイトで応募して、職場に行ってみると、特殊詐欺の事務所だった。
もうどうしようもない。怪しい職場には、ペン型のICレコーダーで武装して乗り込み、スマホのカメラでも撮影して、ある程度のところで逃げ出す。わざと倒れこんで、病院に行かせてくれ。
その足で警察に言って逮捕してもらう。それしかないでしょうね。ある程度の胆力が必要ですが。
水際で防ぐのが一番いいのですが、私はほぼ不可能だと思っています。ただ、秘匿性の高い通信アプリに誘導するというのは分かりやすい手口。テレグラム、シグナルなど。
もしアプリのインストールを促されたら疑ってみるのがいいでしょう。でもなぁ、普通の事業所でもビジネスアプリのインストールを求められることは多いですよね笑。
いや、笑い事じゃないですけど。自分は引っかからないという慢心を捨てる。そんなことぐらいです。TVやメディア、ネットで拾える程度の知識はもう「古い」と思った方がいいです。
自分も騙される。それぐらいの認識でいたほうがゼッタイいいと思います。正直、私も騙されると思ってます。