少し前に、引きこもりと引き出し屋に関する記事を書きました。
西宮市の地域ニュースとはいえ、結構反応がありました。
「おっしゃる通り、西宮市には引きこもり青年(中年)の支援が不十分である」「どこに電話をすればよいのか。勇気を出して電話しても、たらいまわしにされて、諦めてしまった」
などなど。印象としては、
ご家族や当事者の方々は相当ストレスがたまっている。何よりも「もう疲れ果てていらっしゃるな」と思いました。
非常に危うい状態です。引きこもり、つまり社会的難民となる方はもうすでに一次被害を受けている状況です。
その後、ご家族内で二次被害を受けられる方もしばしばおられます。
今回は、社会的難民と二次被害について少し筆を執りたいと思います。
気にしすぎるご家族と周囲の目線
社会的難民は当事者にとっても、同居されているご家族にとっても非常につらいものです。
特に、ご家族は周囲の目を気にされます。「〇〇さんの息子さん、さいきんずっと家にいるよね。なにしているのかしら??」周囲の格好の噂話の的。
戸建て、マンションや団地住まいでもご近所づきあいはある程度避けられません。自治会、子ども会、団地内の清掃活動など、必ずご近所同士が集まる機会があります。
そんなときに、必要以上に「警戒」しすぎてしまい、「私は息子(娘)のことで陰口をたたかれて、嫌な思いをした」とおっしゃるご家族さんも。
こういう噂話はいつの時代も起こり、誰かの悪口や陰口をたたかなくてはやっていけないのが世間のつね。自分に負い目がある人ほど、他人の悪口を言いたがる。そうして、自分に矛先が向けられまいとする。
人間の自己防衛などそんなものです。放っておけばいい。しかし、「うちの息子(娘)は引きこもっていて、ぷーになっていて情けなく・・・」という気持ちがあるものですから、ダイレクトに受け止めすぎるんです。
こういう心理が二次被害を生みます。
引きこもり(社会的難民)とご家族による二次被害
二次被害とは、周囲の心ない言動、誹謗中傷等によって被る精神的な苦痛や心身の不調等の被害を指します。
今時、SNSでいくらでも誹謗中傷される時代。ですが、SNSはアカウント削除すればいいだけです。
しかし、同居しているご家族の方からの誹謗中傷は避けられない。シャットダウンできません。
私は、社会的難民を救うRefugeesの代表として、いろいろなご家族のお話を伺います。
やはり、これが一番多い。私も現在進行形で社会的難民となっている状態ですから、当事者とよくお話をする。
ご家族はいつも「私たちは良識ある”ご家族”であって、息子(娘)が立ち直れるように誠心誠意心をくだいています」というスタンスを取ります。
もちろん否定するつもりはありません。しかし、当事者のお話とずいぶん食い違う。
当事者は「家族から責められることもあり、辛い」と訴える。もちろん、ご家族という狭いコミュニティです。いろんな不満が相互に発生し合う環境にあるでしょう。
たとえ話の一つですが、介護の世界でも「仕事だからやれる。自分の家族なら”もうなんでこんなこともできひんの?はよしてや!!”とついつい言ってまうよ(笑)」とのこと。
あるあるだと思います。ご家族の方も日々ストレスを抱えており、そのストレスのはけ口が家族内のもっとも弱い存在へと向きます。引きこもり、社会的難民となっている方がターゲットとなり得るのです。
引きこもり当事者のご家族の本音とは・・・
ご家族の方も直接的に文句をぶつけることはありません。表向きは、「○○は学校や社会でいじめに遭い、本人もつらい思いをして現在引きこもっている」と理解しているフリをする。
が、周囲からの誹謗中傷、世間体の悪さ、自分自身のストレスなどがたまり、家族内で最も弱い存在である引きこもり当事者の息子(娘)に対してストレスをぶつけてしまう。
たとえば、マンションや団地などの集合住宅の場合は、「〇〇さんのところはうるさいと陰口をたたかれた。お風呂に入るときとか、生活音は小さくして。また文句を言われるから」と言ってくる。
はぁ?生活音も立てるななど、そんなんじゃ生活できないよ!と思いますよね。引きこもり当事者は、ますます縮こまるじゃありませんか!
本心は「世間体が悪いから、一日中家でゴロゴロ。アニメとかスマホをいじっているのではなく、フルタイムで働きにいかんかい!そして、稼いだ金で戸建ての立派な家を購入し、親である私を養わんかい!!」といったところでしょうか。
人間はそういう利己的な生き物です。たとえ親であっても。周囲のお子さんのお話を聞くたびに、内心ではそう思ってしまう。
ですが、表では「うちの子は学校や社会でつらい目に遭い、こうなっている」という理解者としてのポージングを取らなくてはいけない。
だから、引きこもりに関する世間体の悪さなどは決して言わず、「生活音がうるさいんだ」とか言ってくる。
実際、周囲のご近所にお話を伺ったところ、親御さんの方がもめごとを起こしており、
「〇〇さんの奥さんは声も大きくて、いつも威張っていて嫌な感じ。えっ?子どもさん?まあそんな接する機会もないからわからんけど・・・」
完全に、引きこもり当事者ではなく、親御さん(ご家族)の問題ではありませんか。そういうケースもあります。
まとめ
以前、「ツレがうつになりまして」がはやりました。この漫画によって、うつ病になったご家族への対応に関して一定の理解が進んだと思います。
一刻も早く、「家族が引きこもりになりまして」という漫画が出てきてくれることを望みます。
どう対応すればよいのかわからない。ストレスが発生する。当たり前のことです。
しかし、そのストレスは家族内でもっとも弱い立場のメンバーに向かうんです。ツレのように、夫婦であればともかく、
自分の子ども相手だと完全に立場が上ですから、そのストレス発散は情け容赦ないものになります。
こういうことを言えば「家族である私が悪いんかい!」とムッとされる方もおられます。悪いとは言っていないが、そういう場合がゼロであるとは言わせない。人間なんだから。
私たちは常に聖人君子のごとく、誰に対してでも対応ができる??そんなこと不可能です。
解決方法としては、家からなるべく外出することです。ご家族の方が!!引きこもり当事者の方を外出させようとするのは間違いではありませんが、ご家族の方の外出時間も大切です。
料理、洗濯など家事をしなくてはいけないし・・・わかります。しかし、ご家族の外出時間も増やしてください。一人でいる時間を作ってあげてください。
引きこもり=一人でのびのび過ごせる、は完全に間違った理解です。常に周囲の目線を気にしながらの生活。まったく一人ではないんです。
互いの接触を少しでも避ける。引きこもり(社会的難民)の方には、ゆっくりと一人で考える時間が必要。一人っきりにさせた方がいいのです。
自殺でもされたら…そういうケースはもはや引きこもりではない。重度の精神病の状態で、入院させた方がいい。だから、極端に考えないで。まずはご家族である、あなたが外出して、息子(娘)さんとの接触を減らしてください。
ストレス発散は家の外でしてください。