障害者をヤミ労働させたいなら、106万円の壁を192万円にでもすれば??

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山形県新庄市の就労継続支援A型が2026年3月に閉鎖。障害者217人がクビ

そんな記事が目に飛び込んできました。

理由は106万円の壁撤去にあると会社側は説明しています。

以前は、年収106万円を超えれば社会保険加入が義務付けられていましたが、その要件が2026年10月から撤廃予定です。

年収106万円とは、月額賃金で88000円。週20時間働くとし、1か月で80時間。88000円を80で割ると、時給1100円計算となります。

社会保険といってもいろいろありますが、この場合は厚生年金保険ですね。※社会保険は、他にも健康保険・介護保険・労災保険・雇用保険などあり。

年収要件が撤廃されても、「週の所定労働時間が20時間以上」「学生でない」「勤務先企業の従業員数51人以上」「雇用期間が2か月を超える」などの要件はそのまま残りそうです。

ですが、年収106万円の壁はもはや実質的に機能しなくなるという意見も。

なぜなら、最低賃金が全国加重平均で1055円。一部都道府県では、週20時間以上働けば、106万円は自動的に超えてしまう。

最低賃金1500円、2000円を目指していくのであればもはや壁として機能していない。もし厚生年金未加入のヤミ労働に従事させ続けたいのであれば、

106万円の壁を引き上げてやればよい。例えば、賃金2000円とし、週20時間で4万円。月額賃金で16万円。年収で192万円。

国民民主党がいう所得税の壁103万円を178万円に引き上げたいのであれば、厚生年金保険の壁106万円を192万円にすればよい。

私はヤミ労働に賛成しないですから、納得はできませんが。ゾンビ中小企業が安い労働力を使い続けたいのであれば、106万円の壁を192万円にすればよい。

最低賃金が2000円を超えるまでは、社会保険を払いたくないゾンビ企業が延命できるわけです。

年収106万円の「壁」に違和感

年収106万円の「壁」という表現自体、私は違和感があります。

「壁」は、非常にネガティブな表現。進撃の巨人みたく「この壁を越えたら地獄が待ってるぞ」という印象を受けます。

越えたらいけないもの?本当にそうでしょうか。

前提として「社会保険なし労働者は、ヤミ労働に従事させられている」のが私の考え。

2023年にも厚生年金加入漏れが100万人という日経新聞の記事がありました。

企業としては会社負担が増えるので社会保険は払いたくない。

社会保険を払わずに働かせるのが「ヤミ労働」という認識を持っていない。現在の日本の労働環境、日本企業のレベルはそんなもんです。

今回の山形市新庄市の会社も、就労継続支援A型事業所なんです。生産活動に比重が置かれ、国の補助金目当てで運営していた事業所がスコアが低くなり、

国からの補助金がうんと減らされて、倒産したA型事業所が昨年は続発。つまり、年収106万円の壁が原因でなく、もともと国の補助金目当ての事業所だったのでは?

上記のリンクに企業名も社長名も出ているのでそのまま使いますが、まだこのユニオン社の加藤翔社長が誠実なところは早めに倒産する意向を伝えたこと。今は2025年の3月。閉鎖は2026年3月なので。

しかし、年収106万円の壁は2026年10月撤廃予定。見切りが早すぎる。企業努力もせず、すぐに徹底を決める。

事業所運営がやはり補助金目当てだったと言われても仕方ないでしょう。

まとめ

今回、問題となった記事で、気になる点をそのまま引用します。

(A型事業所「利用者」)『106万円の壁』は本当にひどいものを生み出した。いつの間にか廃止になり悲しい。仕事を維持してほしかった。

【山形】整理解雇217人・障害者から不安の声 「106万円の壁」撤廃で“A型事業所”閉鎖 新庄市

正直、記事の内容からはなんとも言えません。情報が不足しすぎている。

上記の利用者のお声もちょっとわかりづらい。壁撤廃がダメだったということですかね。

ニュースタイトルも「106万円の壁」撤廃が閉鎖の原因だと言わんばかり。

2024年に生産性が重視され、スコア(事業所がもらえる報酬)に大きく影響し、補助金を減らされたA型事業所が多発。

とっとと店仕舞いしたA型事業所大量閉鎖が昨年の話です。報道機関は知らなかったのか。

ヤフコメ連中も実態をつかみかねており、意見が錯綜していますね。

今後もヤミ労働をさせたい。社会保険加入なしで弱者を働かせ続けたい。企業ファーストの論理を重視するなら、厚生年金保険の壁106万円を192万円にすればいい。

ヤミ労働がダメだというなら、将来的にリターンが増える社会保険付きの正規労働を幅広く認める。ゾンビ中小企業を市場から退場させる。

一時的には労働環境の流動性が高くなり、無職者も増えるでしょうが、その間は国の制度でリカバーする。

結局、大きな方向性としてどちらを選ぶのかということ。こういう本質的な点に目をつぶって、わいわい叫んでても仕方がない。

社会保険未加入のヤミ労働は先進国としてふさわしくない。今後は労働環境を整備していきましょう。そういう流れだったのでは?

報道機関も、国民全体も、どうやらそこまで腹が据わっていなかったのでしょうか。あるいは、

国民民主党が手取り(労働者目線)や労働時間の確保(企業目線)ばかり言い過ぎたせいで、

ヤミ労働という社会保険未加入問題に対する認識がそがれたのかもしれませんね。

ですが、今いちど考えてみましょう。

厚生年金未加入だと、月額6万円ほどの国民年金のみ。暮らしていけるのか。ヤミ労働のままでいいのか。私はダメだと思います。

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