西宮市内就労継続支援A型事業所のご紹介

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今回は、西宮市A型事業所を紹介していきます。

参照元は、西宮市地域自立支援協議会が発行された「西宮市内福祉事業所ガイドブック2023年度版」によります。

西宮市地域自立支援協議会は、障害者総合支援法施行規則に法的根拠がある協議会。ざっくり言えば、行政の委託機関のひとつです。

その支援協議会さんから発行されたガイドブックには、福祉事業所(A型、B型、移行支援)一覧が掲載されております。西宮市A型事業所では16の事業所が紹介されていました。

記載事項は、定員のうち精神障害者の人数(以下、精神)。開所時間。時給、月の平均賃金。支援メニュー(仕事内容)。HPがあればリンクを張ります。※ほぼすべての事業所で送迎支援はなし。

就労継続支援A型事業所(西宮市) 一覧

アミル甲子園口:定員20名のうち精神11名。9時半~14時半。960円。紙袋製造かクロネコヤマトメール便。前者は、紙袋の持ち手のひもを通す簡単作業。後者は、徒歩又は自転車でポスティング。

うちの家:定員20名のうち精神8名。5時~18時。960円。お惣菜の下処理・製造補助。野菜の皮むきとか。お惣菜の仕分け。一般就労者と一緒に仕事するらしい。

③エフピコ愛パック株式会社西宮工場・西宮選別センター:定員40名のうち、精神0名。8時半~17時15分。賃金記載なし。食品容器の生産、回収したトレーの選別作業。事業所の願いに「働くことの厳しさを知ろう」とある。少し異彩を放っている。※JR三田駅から工場間で会社送迎バスを運行。

株式会社 ゆうあいサポート:定員10名のうち精神0名。9時~16時。賃金記載なし。ペットボトルのリサイクル作業、施設内清掃作業。コープこうべからの作業委託を中心とした事業展開。

ギフト:定員20名のうち精神8名。9時半~14時半。賃金記載なし。軽作業全般。メーカー商品シール貼り、箱の組み立て、梱包、検品。他に、HP内にはネット販売、アクセサリー作成などもあり。

⑥ココ・アシスト西宮:定員20名のうち精神8名。8時45分~17時半。賃金記載なし。施設内はオリジナルプリント転写作業。ロゴや写真などのデザインをTシャツにするらしい。施設外就労は、軽作業や倉庫出荷作業の写真が掲載。

⑦サクラス:定員20名のうち精神11名。9時半~14時半。賃金記載なし。軽作業全般。箱折り、ホビー商品等の加工・検品・梱包・分別・シール貼り、PC入力(若干名)。施設外就労は「希望者の適性を見ながら進める」らしい。

サンライズ障害福祉支援センター:定員20名のうち10名精神。が、現員は36名。定員オーバー状態。9時~15時半。清掃は時給千円。軽作業は時給960円。清掃は公園や河川の除草清掃。軽作業はマンション敷地内の清掃、ポスティングほか。※HPは、今時珍しいブラック企業の代名詞!「アットホームな事業所」と堂々記載!

⑨ソーレ事業所:定員10名のうち精神3名。8時半~16時。賃金記載なし。冷凍弁当を中心としたお弁当の盛り付け。冷凍弁当における、シール印刷、貼り付け、梱包も。接客業務なし。

Honeyベリー:定員20名のうち精神8名。9時半~14時半。賃金記載なし。軽作業による加工品製作、封入作業、箱の組み立て他。

⑪ひなた:定員20名のうち精神16名。が、現員29名となっており、定数オーバー状態。10時~14時半。平均工賃86400円。軽作業。コスメ商品を主とした販売商品の加工・検品分別・梱包等。施設外就労は、希望などを考慮し、取引先企業に出向。

⑫ひなた EAST:定員20名のうち精神19名。が、現員は32名。10時~14時半。平均工賃86400円。軽作業。工具等販売商品の加工・検品・分別作業・箱の組み立て他。施設外就労、⑪と同様。運営主体も同じ企業。

⑬hinata plus:定員20名のうち精神13名。が、現員は27名。12時~16時。平均工賃86400円。軽作業も就労外就労ともに⑫と同じ。運営主体も同じ企業。

HOPE:定員20名のうち精神6名。9時半~14時半。賃金記載なし。軽作業における加工品製作・封入作業・チラシ裏書・縫製作業等。施設外就労あり。内容は不明。※場所が違うだけで、HPは⑩と一緒。運営主体も同じ企業。

新生会作業所:定員40名のうち精神28名。9時半~17時半。月平均賃金98740円。印刷(デザイン版下製作・オフセット印刷・製本加工等)、調理。

てんとうか/アップライン天塔花:定員はA型とB型合わせて20名のうち、精神5名。9時~17時。賃金記載なし。施設内就労は内職作業。HPでは名刺・封筒印刷、商品ラベル貼り・封入作業とあった。施設外就労は除草・清掃。※HPには「働く形は決まっていません。働く形を決めるのはあなたです。働きながら自分の形を探し出してください。職員一同応援いたします」とのこと。なんと投げやりな姿勢か。

N係長が気になった点は

ガイドブックの西宮市A型事業所の紹介項目に”事業所の願い”があります。2~3行程度ですが、読んでみると事業所の目指しているものが見えてきます。

「安心して長く働いていただけます」とか「楽しく仕事できます」など、こういう事業所はそもそも一般就労への移行を目指していない。ほとんどの事業所があてはまります。

「一般就労へ向けて」と謳っているものの、一般就労実績を上げている事業所は⑩Honeyベリー、⑪ひなた、⑭HOPEのみ。しかも、どの事業所も令和4年度で1名~2名を出しているだけ。

西宮市内の就労継続支援A型事業所は、「働く場」としての機能しか目指していないという実態がわかります。”一般就労へ向けてスキルアップ”など、ただの建前。絵空事。

就労スキルの維持向上や一般就労へ向けた支援は行われておりません。これでよいのか、西宮市の就労継続支援A型事業所は!

利用者には長く働いてほしいという本音?

そもそも就労継続支援A型事業所はどうやって儲けているのかという点です。

清掃などは、外部から仕事を委託されて行っているのですから、利用者自身が働いて売り上げを作っているわけです。

一方で、利用者自身も事業所に対して利用料を支払います。利用者の自己負担。働いて仕事をしているのにお金を取られる。「他では雇わない連中を雇ってやってんだから!恩を感じろよ!」ということですね。前年度世帯収入によっては、0円の場合も。その場合は、行政が支払うので、事業所は結局ウハウハ。

行政から別に給付金ももらえます。障害福祉サービスとしての報酬です。基本報酬があり、一定の要件を満たすことで加算、または減算も。

報酬の9割は訓練等給付費として市町村から支払われ、残り1割を利用者に請求する仕組み。この1割分が、前年度世帯収入によって利用者から徴収されるんですね。

「前年度及び前々年度、生産活動収支が、利用者に支払う賃金の総額未満である」が、47.3%。ほぼ半数の事業所が、訓練給付金頼みの運営をしている。

参照元:厚労省”令和3年度障害福祉サービス等報酬改定検証調査調査結果報告書”

就労継続支援A型事業所の支援メニューに印刷業が多い。これは、経営が立ち行かなくなった印刷業者が就労継続支援A型事業所の開業申請をして、最低賃金で障害者を働かせつつ、国からも潤沢な訓練給付金を得る。まあこういうからくりなわけです。

「経営者に本業があれば、就労継続支援と結びつけやすいでしょう」(引用元:障害福祉事業の未来を描くミライクス”就労継続支援B型は儲かる?収益シミュレーションから分析”)と積極的に就労継続支援事業所の開業をお勧めする開業支援業者もございます。

事業所の評価は200点満点のスコアがあり、点数が高いほど報酬が多い。定員20人以下の場合は、評価点が105点以上130点未満の場合は655単位。評価点が170点以上(最高ランク)だと724単位。評価点が60点未満(最低ランク)は319単位。※参照元:厚労省”令和4年度障害福祉サービス費等の報酬算定構造”

また定員が20人以下が一番点数が高い。定員が81人以上だと、最高ランクでも574単位。定員オーバーの事業所は減算されますが、それでも20人以下で登録した方がお得なんでしょうね。

1単位が11円ほどです。仮に110点だとすれば、655単位。利用者一人が1日利用すれば、11円×655=7205円。

令和3年9月は平均して利用者18.7人、開所日数22.9日。延べ利用者数が362.4人。よって、7205円×362.4=約261万円もらえる。なんと儲かることか!

参照元:厚労省”令和3年度障害福祉サービス等報酬改定検証調査調査結果報告書”

また、基本報酬のほかに、加算があります。送迎は21単位の加算など。

就労移行支援体制加算もありますが、少ない。これは前年度において、就労継続支援A型等を受けた後就労し、6月以上就労継続している者が1名以上いた場合の加算。

元々、本業で事業をされていた方にとっては、安い労働力の補填をしたかった。利用者が働き続けて、せっせと訓練給付金を行政からもらい続けたい。就労継続支援A型の経営者はながーく働き続けてほしいんですよね。

結論として、西宮市A型事業所は、自身の利益を徹底的に追及するための最適解を取っているだけということです。誰も”障害者支援”など本気で考えてはいないのです。

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