中高年ひきこもり対策とは?必要な支援はなに??

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『中高年ひきこもり』(著・藤田孝典)を一気読みしました。

本書は、私が常日頃感じていた疑問にダイレクトに応えてくれる著書でしたね。一種のカタルシス効果。

藤田氏は、まずひとこと。中高年引きこもりの原因はパワハラにあると主張。職場でひどい目に遭い、社会との関り合いを断ってしまったことにあると指摘。個人的資質ではなく、社会的な構造問題なんです。

中高年ひきこもりの対策はひとつしかないんです。パワハラブラック企業が謳歌する現状を変えていくこと。もっと大きく言えば、社会で傷つく人を減らしていくしかない。

本書の160ページをそのまま引用すると、

中高年ひきこもりを語る際には、労働問題こそ主軸であるといえるのではないだろうか。労働問題への介入なくして、中高年ひきこもり問題は解消に向かわないと言ってもいいのではないか。

難しいとは思いますが、当事者の方々は「また会社でひどい目に遭うんじゃないのか」と思っている。拭えないんですよ。そういう負の記憶は。

家族も初めは理解してくれるが、徐々に冷淡になっていく。そんなリアルも当事者の体験談から紹介しています。

中高年ひきこもりの方のほとんどは家族との人間関係がよくない。しかし、経済的理由から実家に戻り同居せざるを得ない。同感です。

界隈のお仲間と話をしていても、家族と仲が良い方と言うのはみたことがありませんね。ほとんど話をしないんじゃないかなと思います。

家族は基本的に当事者らを怠け者扱いし、口では言わないものの「なんでうちの子はこうなんやろ。情けないわ」と思いながらため息ばかりつく。

本書90ページの部分が特に印象的で、そのまま引用すると、

日本では若者やひきこもり当事者への公的な住宅支援がほぼ皆無である。公営住宅は乏しく、広範な家賃補助制度もない。結局、家族が住宅負担をすることになり、家族が負担できなければ、耐えがたい同居が続くということになる。

心療内科の先生は「ご家族と離れて一人暮らしされたほうがよさそうですね」と他人事のようにアドバイスされますが、

気軽に言ってくれるな、といいたいです。一人暮らしできる経済的余裕なんかありませんよ。

ひきこもり当事者で一人暮らしが出来ているってのは、かなり恵まれた状況なんです。大半は、家族の監視の下、肩身の狭い気持ちで同居生活を余儀なくされる。

そういうのっぴきならない状況に陥ったことがないんですよね。医学部を出た先生方は。そこに僕らはパーセプションギャップを感じちゃうんです。

中高年ひきこもり当事者の方の多くは、医療福祉機関に対してネガティブな印象を持っているという指摘も。私もそのまま当てはまります。

本書は、中高年ひきこもり当事者らは役所に対しても不満が多いという現状もズバッとえぐりだしてくれる。

その一つが、いわゆる”看板問題”ですね。あっちこっちと窓口をたらい回しにされ、最終的に窓口にたどり着いても『甘えるな!働け!』と冷たくあしらわれる。

界隈のお仲間も基本的に行政には批判的です。私は、もう少し冷めた見方をしています。

生活保護の『闇の北九州市方式』が問題になったように、

役所で働く公務員の立場を考慮すれば、「別に頑張ったからと言って給料が上がるわけでもなく、心の弱った情けない奴が都合よく働ける職場などそもそも提供できないし、余計な仕事を増やさないでほしい」

という気持ちはわからなくもないです。民間の転職会社があれほど熱心なのは仕事だから。一人職場に送り込むことでインセンティブが入るから。歩合制だから。

労基に労働問題を相談しても冷淡に対応される。「よっしゃ。そんな企業は潰してやるぞ。わしに任せてくらぁさいよ」というやる気のある方はお目にかかったことがないです(笑)。

役所で働く方の個人的要因ではなく、構造的要因だと思います。中高年ひきこもり問題が社会的な問題、構造的問題であるのと同様に。お役所勤めされる方を個人攻撃しても意味がないと思うんですね。

本書は当事者活動がもっと重視されるべきという主張がされています。本当にその通りで、

支援団体のする支援活動は「いま困ってるんやろ?ダメなお前らを引き上げてやるよ」「仕事しなきゃ生きていけないんだから。そんなことも分からないのかよ。ふざけるな」というスタンスです。

しまいには「こいつはなんなんや?」「やれやれ。こんな変な奴にはかかわらんとこ。もう無視や。はよ帰ってくれんかな」と呆れ顔をされる。一方で、

当事者同士の活動は、どうにか生活できる知恵を互いに出し合う。たまにはぼボランティア活動という甘ったるいことをしてもいいし、ちょっとバカな冒険をしたっていい。2~3日山ごもりしてもいい。バイクで行けるとこまで走るのもいい。

『中高年ひきこもり』の著者の藤田氏は、当事者団体の活動を支援すればいいと語る。

私も同感する一方で、難しさも感じます。〇〇人がハロワで紹介している求人に応募した。そのうち、〇人が就職した。半年後も、□人が就労継続している。

こんな風に就労支援では数値で評価できる部分がある。一方で、私がやっている当事者活動は、そういう数値目標がない。数値で出せるものがひとつもないんです。

客観的に見て、どうやってその当事者活動を評価するのか。適切なものさしが見つからない。藤田氏の主張通り、意義のある当事者活動のほとんどが手弁当でやっている。

私もそう思いますが、”手弁当でやらざるをえない”という実態がある。

「働かないと生きていけない」というのも正しいっちゃ正しいし、中高年ひきこもり当事者自身も「自分たちが働くことに積極的でないのは事実」と認めているところもある。

当事者団体様の活動はこういうすり合わせの部分で難しいと思いますね。私自身、常日頃実感しております(泣)。

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