他の活動実績でも報告しましたが、弱者男性、社会的難民の方、小中学生の非行・不登校のお子さんなどの交流支援活動をしていると、
私と同じ境遇の方とお会いする機会があります。
私の終生の悩みである、『機能性構音障害』です。
いったい何ぞや??
一言でいえば言語障害(専門用語では構音障害)です。機能性構音障害とは、日本語の発音を間違えて身につけてしまった。特に、間違った舌の使い方で、日本語の発音が歪んでしまった言語障害です。
小学低学年あたりまでは放っておいても自然に治る場合も。
しかし、高学年になっても治らない場合は黄信号です。たとえば、職員室に入るときに「失礼します」と言いますよね。
それが「ひつれいぃひます」と、「シ」が「ヒ」に近い発音になります。特に日本語は「イ段」の音が歪みやすく難しい発音。私の場合もそうでした。
中学時代からいじめの対象となり、よくからかわれました。「社会」「じゃんけん」などの「ジャ」「シャ」の音も言えず、
『お前は”さかい”や”ざんけん”に聞こえるわ(笑)」とクラス中でくすくす笑われる。
あるいは「6時半に待ち合わせで」と言えば、笑われながら「6ずぃはんでまつぃあわせwwね」と返される。
もう30過ぎの私ですが、今でも覚えています。特に中学時代の心ない英語教師から『お前、何言ってんのかわかんねーよ』という辛辣な言葉。クラスの男子はみんな笑ってましたね。
言葉は刃物だといいますが、体全身が熱くなり、顔も真っ赤。もういたたまれなくて、情けなくて、どんどん人前でしゃべるのが怖くなってくる。忘れることはないでしょう。
機能性構音障害は、「言葉」を奪われるという障害
高校時代でも続きます。親しくなった先輩からは、
「ああ、あれね。クラスに一人くらいはいるやつね。滑舌が悪い奴。そんな場合は、クラスメートが優しく対応してくれるかどうか。もうそれでそいつのクラスでの一生が決まるよね。お前がそうなんやな」
もう少し自分語りをさせてください。
そんな私は高校にも行けなくなりました。古典の授業。助動詞や助詞を学びます。授業中、先生に当てられて「この”ぬ”は助動詞”ず”の連体形で~」とか「品詞は助詞です」とか答えるところ、
わたしは「ジョ」や「ジョシ」が言えないものですから、先生から「はぁ?なに言ってんの?」と何度も聞き返される。黙り込む私。何度も言わせようとする先生。「わかりません」という私。クラス中は小声で「あいつ滑舌悪くて言えないんや」とくすくす笑う。
※後になって分かったこと。その古典の女性の先生はわざとやっていたのです。その先生と仲良しのクラスメートに「滑舌が悪くて言えない奴、わざと指名して何度もいじめてやったわ」とにやにや。今でもぞっとします。
機能性構音障害と日本の医療機関
諸外国では、学校の身体測定などで視力、聴力とあわせて発音チェックもするようですが、日本はありません。
あの北朝鮮でも、発音の確認はきちんとチェックされ、子ども時代に舌の形など含めて矯正してくれるそうです。世界最貧国の北朝鮮以下です。情けない。
日本で機能性構音障害を直す診療所は存在しません。耳鼻咽喉科や大学病院などに言語聴覚士(ST)の方がいますが、守備範囲外です。
基本的に運動性構音障害、脳性麻痺で唇が震えて言葉が出てこないという方へのケアしかできません。私と同じ機能性構音障害の方が訪れたケースでは「いやぁ。あなたはフツーに話せてますよ?問題ないです」と門前払い。
言語聴覚士の方は、機能性構音障害という言葉自体は知っています。テキストで1~2行くらい触れられているので。ですが、直し方までは習っていません。診療で得られる点数も不明。門前払い一択。
「落ち着いてゆっくり話してみましょう!」「精神的な面も大きいので、もっと自信をもって、口を大きく開けてはっきりしゃべってみませんか?」
まったく的外れです。機能性構音障害者は、そもそもバットの握り方を間違えているんです。つまり、正しい舌の形を作れていないのです。ゆっくりバットを振っても、握り方を間違えているんですから、正しく振れることはありません。
日本で唯一の機能性構音障害を直す専門の教室があります。この分野の第一人者である小森法孝先生が新宿でされている『東京発音アクセント教室』です。
1985年に開設され、先生がお一人でされています。私も15年ほど前にお世話になり、以前よりはきちんと発音ができるようになりました。
小森先生もだいぶご高齢で、いつまで続けられるのか。後継の方が育っているのかも不明です。現在、zoomでリモート指導をされているらしく、1時間7500円とのこと。
もちろん健康保険は使えませんが、15年前はリモートなどありませんでした。お値段も初回が3万円、東京の新宿までの足代も含めればもっと。今ではかなり利用しやすくなったと思います。
※『機能性構音障害』で検索すると、関西医科大学附属病院がヒットしました。言語聴覚士の方が担当するそうですが、私は行ったことがありません。一度、試しにいってみようかとも考えています。
10万を握りしめて東京発音アクセント教室へ
私は、ついに高校を無断欠席。学校から自宅に電話。母親に問い詰められる。夕食をはさんで、深夜までだんまり。
滑舌が悪くていじめられている。そんな情けないことをどうして親にいえるでしょうか。6時間以上かかって、「実は・・・」と切り出す。
母親は唖然。「まあ吃音というか、どもって言葉が出てこないクラスメートはいたわね。」という感想。残念ながら、そういう簡単な吃音ではないんだよ。私の障害は。
しかし、母親を責めるのは間違いです。学校の先生方は、クラスに1人はいるであろう機能性構音障害の生徒を完全無視。あるいは、いじめる始末です。理由の一つとして、「直し方を知らない」から。
私の母親も、「口を大きく開けて」という意味のない助言しか出来ませんでした。
その後、高校は卒業したものの、大学は中退。私は20歳になり家でひきこもり生活。
「このまま一生話せない。映画館でも窓口でチケットを買えない。弁当屋でも”のり弁当”を口頭で伝えると、”はぁ?のい弁当??あんた何言ってんの?そんなのないよww”とバカにされる。これでいいのか・・」
こういうエピソードはまだまだあります。
転換点は、図書館で音声学や言語障害の本を片端から調べて、『機能性構音障害』という専門用語を見つけたこと。
そのころから、やんわりと広まってきたインターネットで検索して、東京・新宿の『東京発音アクセント教室』をみつけたこと。
交通費を含め、10万以上します。東京など一人で行ったこともない私。母親は「行ってきなさい!治るかもしれない」
結果、以前よりは日本語を正しく発音できるようになりました。
まとめ
私は、母親含めて、家族はみんな「俺の発音の悪さを知っているだろう。滑舌で悩んでいる姿は見せないけど、なるべく隠そうとして”イ段”の音は言わないようにしているけど、わかってるだろう」と思っていました。
ですが、母は「まったく知らなかった。少し、話しにくそうな。なんか何を言っているのかわからない時はあったけど・・・」という反応。
親御さんは気づきにくい。当事者は隠そうとする。相談相手もいない。治るものではないと考える。もう負のスパイラル。
今回、ここで機能性構音障害をご紹介したのは、ぜひ一度お子様の発音をチェックしてほしい。私みたいな細々としたボランティア団体の代表ですら、もうすでに不登校のお子さんの原因が機能性構音障害であったケースがいくつも。
この言語障害はいったい何人いるんでしょうか。お子さんの将来を完全に真っ暗闇にする。ダメにする。
言葉の障害はそれだけ重い。人生を奪う。ぜひ重く考えていただきたいです。