就労継続支援A型を利用していい人は??

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©N係長

就労継続支援A型について聞かれることが多いです。

私もなんとなく利用を敬遠していまして、実際に利用したことがありません。ですが、行政のお手本のような回答はしたくないです。

ツッコんで考えてみたいと思います。

厚労省のHPによると、まず就労継続支援A型の定義は、

就労継続支援A型:一般企業に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して、雇用契約の締結等による就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供を行います。

引用元:厚労省HP”障害者の就労支援対策の状況”

就労継続支援B型もありますが、こちらは「雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供を行います」とのこと。A型よりもさらに重症者向けですね。

また就労移行支援や就労定着支援もあり、これら4種をまとめて就労系障害福祉サービスといいます。

就労移行支援は雇用契約もなく、給料さえない。B型の方はまだ工賃がもらえます。

利用している人は?

利用者は、令和2年3月で、就労継続支援A型は約7.2万人、就労継続支援B形で約26.9万人。就労移行支援で約3.4万人。35万人ほど。(参照元:厚労省HP”障害者の就労支援対策の状況”)

また厚労省のHPから確認できることは、令和2年3月には特別支援学校(旧・養護学校)の卒業生約2.2万人から7千人ほどが利用されています。

一度社会に出て、その後社会的難民となった精神障害者の方の何人が利用しているのか。ダイレクトなデータは見つかりませんでした。内閣府のHPに移ると、令和4年版障害者白書の統計が確認でき、

精神障害者は全体で419万3千人。そのうち、25歳未満38万5千人(9.9%)、25歳以上65歳未満206万人(52.9%)、65歳以上144万7千人(37.2%)です。

また障害者白書の他の箇所を参照すると、20歳以上65歳未満の精神障害者の男女は約230万人。入院患者の割合が7.2%らしいので、在宅の方は230×92.8%=約213万人。

生産年齢人口(15歳以上65歳未満)とほぼ重なる精神障害者の人数が約213万人。このうち、何人が就労継続支援A型約7.2万人に含まれているのか。謎です。

そもそも精神障害者の実際の人数はもっと多いと思います。

精神障害者数は、医療機関を利用した精神疾患のある患者数を精神障害者数としていることから、精神疾患による日常生活や社会生活上の相当な制限を継続的には有しない者も含まれている可能性がある。

引用元:内閣府HP”参考資料 障害者の状況”

医療機関を利用していない方は含めていません。精神障害者の方は、身体障害者や知的障害者の方と違い、医療機関をなかなか利用されない方も多いでしょう。もちろん、その場合は計測しようがありませんので仕方ないですが。

賃金は?

令和3年度平均工賃(賃金)は、就労継続支援A型で月額81645円、就労継続支援B型で月額16507円。

一度社会人となり、その後精神的ストレス等で社会的避難をしてこられた精神障害者。言うまでもありませんが、こんな低賃金では生活が出来ません。ましてやB型はなおさらです。

大学を卒業し、社会人となり一人暮らしをされる。となれば、家賃だって安いところでも1Kで4~5万ほどでしょうか。生活できませんよね。

アルバイトとの併用は基本的に禁止。一般就労できない人へのサービスなのだから、「アルバイトできるんであれば、障害福祉サービスの対象外です」という理屈。ならばどうするのか。

※自治体によっては認められるとの情報もありましたが、兵庫県や西宮市では可能なのかどうか。また確認してみたいと思います。

就労継続支援A型の月額平均給与は8万1645円です(令和3年度時点)。これだけでは生活が厳しいという人は、障害年金と併用することも検討しましょう。障害年金とは、障害や病気により、生活に支障が出た場合にもらえる年金です。

引用元:リタリコ仕事ナビ”就労継続支援A型とは?仕事内容、給料、利用方法をわかりやすく解説”

まあそうでしょうね。つまり、就労継続支援A型事業所を利用できる方は、現実的に限られてくるんです。

①障害年金を申請し、既に支給されているような方。②同居されているご家族の方(配偶者含む)が経済的に支えてくれる方。

就労継続支援A型を卒業後、どこへ向かう?

就労系障害福祉サービスから一般企業へ就職している方は毎年増えており(理由:事業所が増えているから)、令和元年では約2.2万人。そのうち、半数はなんと就労移行支援の利用者。

就労移行支援は給料が出ません。それだけ一刻も早く就職したいという方が多いと予想されます。就労移行支援利用者は約3.4万人、そのうち1.1万人が一般就労へ。つまり3人に1人が一般就労されてます。

一方で、A型とB型は30万人超いるのに、令和元年は合わせて1万人しかいない。30人中1人です。

もはや障害年金を支給しながら、就労継続支援A型事業所でやっていくという人生設計をしているとしか考えられません。一般就労をそもそも諦めているということですね。

「訓練の場」ではなく、「働く場」としての役割を求めている利用者が多いということ。

令和2年12月のデータでは、就労継続支援A型の利用者の4割以上が精神障害者で、40代以上の利用者が半数以上。20代、30代、40代、50代がそれぞれ20%ほど。精神障害者の方にとっては働きやすいんだと思います。(参照元:厚労省HP”障害者の就労支援について”)

ブラック企業しか受け皿がないのか?

一般就労された方は、どういう企業に就職されているのか。データがないんですよね。

「ほとんどの方が障害者雇用である」という情報も。つまり、健常者としてのキャリアは諦めなくてはいけないということでしょうか。

さらに恐ろしいのは、ハロワで紹介されるブラック企業が受け入れ先となっている印象があるんですね。厚労省が作成した図表(下記参照)を確認すると、

令和元年約2.2万人のうち、ハロワからの紹介就職件数103163件となっており、そのうちA型は19388件とあります。

私も調べたんですが、どういう数字なのか、まったく意味不明です。分かる人は教えてほしいです。ハロワのブラック求人に送り込まれている印象を受けるんですが・・・。

出典:厚労省HP 障害者の就労支援について

合わせて、民間企業の障害者雇用者数は57.8万人とあり、内訳は身体障害者35.6万人、知的障害者13.4万人、精神障害者8.8万人。

精神障害者は身体障害者とほぼ同数にも関わらず、民間企業の雇用者数は身体障害者の20分の3です。精神障害者はホントに企業から嫌われている存在なんですよ。

他の統計資料も確認しました。

たとえば、厚生労働省「2020年度障害者の職業紹介状況等」ではハロワからの就職は精神障害者で約4万人。身体障害者や知的障害者の就職がそれぞれ2万人ほど。その他も含めて、障害者合計で約8.9万人の紹介。

ですから、就労継続支援A型とか就労移行支援を利用されて一般就労した方、令和元年は約2.2万人ですよね。ほとんどがハロワのブラック求人に出向されているんではないかという気がします。

また、民間の就職支援サービスでは精神障害者は相手にされないことが多いですが、ハロワでは精神障害者は大人気ということもわかりました!!

果たして、精神障害者の方にとって就労継続支援A型を含む、就労系障害福祉サービスの利用はコスパがよいのでしょうか。勧められるものなのでしょうか。

障害年金を受給し、40代以上の方。かつ、就労継続支援A型事業所を選び、ご家族と同居。同居先も、賃貸ではない持ち家の方。そういう方でないと勧められないかなと思いました。

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