2025年5月24日、山梨県南アルプス市で16歳の男子高校生が父親(69歳)を刃物で切りつけ、殺人未遂の疑いで緊急逮捕されました。
父親は心肺停止の状態で発見され、その後死亡が確認され、警察は容疑を殺人に切り替えて捜査を進めているとのこと。さいきんは中高生による傷害・殺人事件が次々と報道されています。
こういうのは連続して起こるんですよね。模倣犯とまで言いませんが、一時的に社会の空気が弛緩しているなか、「だったら自分もやってみよう」という心理になる。
今回の事件も、少年はまったく逃げようとせず、素直に自首しています。
24日午前9時40分ごろ、山梨県南アルプス市で、男子高校生(16)が「父親を殺した」と警察施設に自首した。県警南アルプス署員が同市内にある少年の自宅に駆け付けたところ、1階寝室のベッドで血を流し、心肺停止状態の父親(69)を発見。男子高校生を殺人未遂容疑で逮捕した。「父親を殺そうとしたことは間違いない」と容疑を認めている。その後、父親の死亡が確認され、県警は殺人容疑に切り替えて、詳しい動機などを調べる。
はたして父親殺しと言う凶行、この少年の動機はどこにあったのでしょうか。
単なる非行でないことは明白。ならば、父親から虐待を受けていたのでしょうか。年齢から考えると、父親が53歳の時にできたお子さん。価値観の衝突は考えられることであり、少年は父親からの威圧や強いストレスを感じていたのかもしれません。
父親からの暴力や威圧、支配から脱したいがための「防衛的行動」としての殺人行為か。そんな風に考えるのも一つ。
※奥さんの連れ子であり、血縁関係がない場合もある。しかし、そういうケースでは年の離れた父親と距離を取る傾向にあり、そもそも相手男性を「父親」として認識しない。殺人という「密」な肉体的接触は起きようがない。おそらく実子であると思われます。
記事からは、まったく母親の存在感がありません。このような事件が起これば、普通は母親が息子に付き添って自首しにくるイメージがありますが。
「父親を殺した」。24日午前9時40分ごろ、南アルプス市寺部のコストコ近くの交番に、手に血を付けた少年がひとりで出頭しました。
にも関わらず、息子がひとりで自首しに来た。親戚の叔父さんなどに付き添われることもなく、学校の先生の存在も見えない。学校や社会からの疎外感、孤立感。親戚づきあいもなく、兄弟もいない一人っ子。
少年の性格はどうでしょうか。自首しに来るような子なので、どちらかと言えば社会に従順な、優等生タイプ。反抗的でやんちゃするような印象はありません。
となれば、やはり「自宅を離れたいがために、あえて犯罪を起こした」可能性も疑うべきでしょう。最近は非常に顕著になっている、自己破壊的な「SOSの形」を取った凶行と考えるべきか。
家庭内でのコミュニケーション不全。兄弟もなく、親戚づきあいの様子も見られない。いわゆる家庭資源の貧弱さ。
父親から逃れるための自己防衛行動か、自己破壊的なSOSなのか、どちらにしても家庭内不和がそのまま爆弾の導火線に着火してしまった。相談できる相手もおらず。
このような事件が起こると、すぐ少年法改正に飛びつく人がいますが、おおきく的外れです。大人でも「死刑になりたかった」目的の犯罪が増えている。逃げようともしない。大人しく逮捕される。
今回の事件も、他人様の家で強盗殺人をしたわけじゃない。父親殺し。自己破壊的な破滅志向型の犯罪なんです。
多感な時期である中高生が、家庭や社会で居場所を失ったとき、犯罪事件を起こして警察の保護下に入るしか選択肢がない状況に追い込まれる、そのケアを考えなくてはいけません。
我々社会は「なぜこの子はここまで追い詰められたのか?」という背景への想像力と、構造的支援の必要性を改めて問われていると思います。
私は、全面的に少年の見方です。他人様を殺したわけではない。詐欺事件のように、他人様の生き血をすすったわけでもない。ですが、殺人事件なので「長期」の少年院(上限2年)に送致されると思います。願わくば、1年くらいで仮退院し早く保護観察付きで社会復帰され、ご自分の人生を立て直して頂きたいです。私みたいに中年のどうしようもないオッサンじゃない。未来ある少年なのです。心から応援しております。