昭和世代「パワハラは必要なしごき、厳しい叱責や!」

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兵庫県知事選では、残念ながら中盤戦から忘れ去られた傾向にありましたが、パワハラは社会問題として取り組む必要があると確信しております。

官庁の統計データを確認すると、厚労省「令和5年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を見つけました。

総合労働相談は全121万件。そのうち、民事上の個別労働関係紛争の内訳である「いじめ・嫌がらせ」を確認すると60125件でした。

ですが、「いじめ・嫌がらせ」は同僚間によるものです。統計データの注意書きを読むと、パワハラはこの「いじめ・嫌がらせ」には含まれていないみたい。せっかくなのでそのまま読み進めると、

相談件数60125件のうち、あっせん件数は800件。労働局長による助言・指導は960件とありました。併せても1760件。60125件を分母にとると、たった2.9%。あまりにも少ないではありませんか。

都道府県労働局とか、各労働基準監督署内の労働相談コーナーにて相談に訪れている方がカウントされているわけです。こういうところに相談に行くというのは非常に勇気が必要です。

「看板問題」と揶揄されているように、「あのね。あんたさぁ、窓口はここじゃないよ?〇〇に行ってください」と犬のように追い返される。たらいまわしにされる。これが行政の一般的対応です。

まるで相談に来てくれるなと言わんばかりの対応をされ、それでも相談所に駆け込めた方がカウントされているはずです。

そんな相談者のうち、たった2.9%。私はあまりに少ないと感じます。他の97.1%は何もされずに、そのまま追い返されたわけです。またその2.9%の対応も〇をつけられるか微妙なんです。

厚労省のデータから、行政が恥知らずにも、誇らしげに記載しているあっせん、相談事例の画像を下記にUPしておきます。

どうでしょうか。200万円の支払いを求めた結果、たったの20万円。なぜこんな「失敗例」を誇らしく、掲げるんでしょうか。厚労省の役人の神経を疑います。

こちらは申出人が希望する退職日で手続きを進められたとのこと。良かったと思います。ですが、「いじめ・嫌がらせ」を受けた方はもう辞職するしかない。

本来であれば、加害者側を辞めさせるべきところを。被害者側が悪い。「行政に泣きつくような裏切り者、お前のような弱い奴こそ辞めろや!」というのが前提になっております。

ちょっとこちらの相談件数の推移をご覧ください。

上記のグラフを確認してもわかる通り、相談件数は増え続けており、過去4年間は120万件の大台を突破しています。民事上の個別労働関係紛争相談件数はまあ横ばいでしょうか。

行政の「解決事例」を見ても分かる通り、こんな手ぬるい対応をしているようでは減りようがないんですね。果たしてこれでいいんでしょうか。

「いじめ・嫌がらせ」は同僚間のもめごと。肝心のパワハラはどうやら「法制度の問い合わせ」に含まれているみたいです。これじゃわからないよ。行政の言い訳を確認すると、

令和4年4月の改正労働施策総合推進法の全面施行に伴い、同法に規定する職場におけるパワーハラスメントに関する相談については同法に基づき対応されるとのこと。よって、別の統計データを確認してくれと記載がありました。

同じく厚労省から出ている「令和5年度雇用環境・均等部(室)における雇用均等関係法令の施行状況について」がそれです。早速確認してみました。

いわゆるパワハラ防止法とも呼ばれる、改正労働施策総合推進法の施行状況のデータを確認できまして、令和5年度のパワハラの相談件数は60053件でした。

令和3年度が約19000件、4年度が約46000件なので、右肩上がりです。改正労働施策総合推進法にパワハラ防止に関する規定が設けられたのが、令和2年。中小企業も対象となったのは、令和4年度4月から。法整備が全面的に整ったのが令和4年。ほんとに最近なんです。

今後ますます伸び続けていくと予想できます。

氷山の一角に過ぎないともいえる、令和5年度の60053件のパワハラのうち、実際に処理された件数は?是正指導件数は3746件。労働局長による紛争解決援助は1603件。併せて5349件。全体のたった8.9%です。

まだ問題があります。内訳に注目してください。是正指導件数のうち、改正労働施策総合推進法第30条の2第1項関係、いわゆるパワハラ防止措置が2247件。全体の60%。そして、紛争解決援助ではこのパワハラ防止措置が1548件。全体の96.6%。

このパワハラ防止措置というのは、「パワハラ相談の窓口作らなきゃだめじゃない?作ってよね。作ったらもうそれでいいから(笑)」。まるで38度のお風呂に入っているかのような手ぬるい措置。これじゃ風引くよ。トホホ。

こんな甘すぎて食えない100円の菓子みたいな対応をして、ふんぞり返る厚労省と言う役所はいったい何を考えているのか!

他にも研修を実施するという指導もありました。兵庫県の斎藤知事が受けたような「なにがパワハラに当たるのか」という研修らしいです。ですが、

本当に大切なのは被害者目線での研修だと思います。つまり、一般職員に対して「〇〇の行為なんか、よく職場で目にしませんか?それパワハラですよ。もしこんな目に遭った場合は、うちの相談窓口に申し出てください。対応します」こっちの研修をまずすべきだと思いますよ。

昭和の世代の人間からすれば「なにがパワハラや!俺らの世代はもっとひどかった。こういうのを乗り越えてこそ一人前になんねん!」

こういう連中が職場環境を作っているんです。新人の子らは「自分らがパワハラに遭っている」という被害者意識がまったくない。これが当たり前だと思っている。自分が悪いと責め続け、自死を選ぶ。

実際に起こっているではありませんか。現場の職員の自死は。

もし一般職員目線のパワハラ周知の研修が出来ないとしたら、「おれっちの会社はパ・ワ・ハ・ラぁぁ?ふさげるな!そんなもんはパワハラやない。立派な社会人になるための登竜門や!」という時代錯誤の会社だと批判されても文句は言えまい。

繰り返しますが、パワハラの相談件数6万件のうち、たったの8.9%しか対応がなされていない。91.1%は無視です。

しかも、その8.9%も「相談窓口作りましょう。あ、それと加害者側研修もしてね。そうすりゃもういいからさ」というもの。

ちなみにパワハラ防止規定である第30条の2は罰則がありません。厚労省が報告を求めて、無回答。あるいは虚偽の報告をした場合のみ、30万円以下の罰金。こんなんで防げるか!

パワハラをしたものを取り締まる法律ではないんです。もう本当にお先真っ暗です。現状の日本では、パワハラはやりたい放題。

現在、管理職を占めている昭和世代、昭和世代が作ったそんな職場環境で影響を受けている平成世代の20代・30代。彼らもまたその悪しき労働環境、職場環境を再生産するのは目に見えている。

そんな状況を罰則もなしに、事実上放置している行政。あとは政治家のリーダーシップに期待する?霞が関の国会議員たち、地方自治体の首長たちは「パワハラ請負人」と化していますよね。

パワハラに邁進する戦後日本企業や官公・行政庁含め、このバカどもの行進はいつまで続くんでしょうか。トホホ。

※うちの当事者会でもまたお話しできればいいなと思っています。パワハラ被害に遭っている方はホント多いですよ。このままでいいとは決して思えない。

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